2019.06.24
《認知症研修・第3回目》(全6回)
2019年6月24日(月)特養4階会議室にて、全6回「認知症研修」の3回目の講義がおこなわれました。
ポプラの各施設から希望者30名の職員が参加。
マックシールスクールの平野講師(大阪府認知症実践指導者・上級認知症ケア専門士 等)にご指導いただいています。
普段から認知症のご利用者様と関わる事の多い職員に対し、認知症に対する理解を深めてもらうこと、ケアの質の向上・ならびに他施設の職員との情報共有を目的としておこなっています。
3回目のこの日は『認知症を持つ人とのコミュニケーション』がテーマ。
「コミュニケーション」とは?「コミュニケーション」の方法は?
という基本的なことのおさらいから、認知症を持つ人とのコミュニケーションの難しさに至るまで、グループワークや演習を織り交ぜながら進行しました。
一般的な「コミュニケーション」が情報や意思の伝達とその共有であるのに対し、認知症を持つ人との「コミュニケーション」は、お互いに共感・理解しあう双方向の関係づくりなのだそうです。
●良好なコミュニケーションが成り立つ要因として必要なこと…
①相手を価値ある人として尊重している
②相手と対等であり、信頼する姿勢をもつ
③コミュニケーションスキル(言語・準言語・非言語)がある
ここで理解を深めるために…
演習1 言葉の説明のみで簡単な絵を描く。
⇒全員が同じ構図・同じ絵になることはありえない。
演習2 言葉に出さず・口も動かさず、相手に伝える(非言語メッセージ)
⇒ジェスチャーは千差万別。普段のかかわりから真意を引き出していく必要がある。
演習3 1対1で「話す人」「聞く人(2パターン)」
「話す人」…内容おまかせ3分話しかける
「聞く人」①…相手の話に反応せず無視。目も合わさない
⇒当然、しゃべりにくい。時間を長く感じ苦痛
「聞く人」②…(1分)うなずきながら聞く
(2分目)相槌もうつ
(3分目)相槌もうちながら時々相手のフレーズを繰り返して共感する
⇒相手がちゃんと耳をかたむけてくれる安心感があり、もっと話したくなる
逆の立場でも同じことが言え、話し手が聞き手に与える影響は非言語的な要素が90%以上を占めるそうです。
特に、認知機能により言語的理解が困難になると「何を話していたか」よりも、「表情・ジェスチャー」など非言語のメッセージがより印象に残るそうです。
介護士といえども人間。そのときの感情のままに受け答えしたり、行動してしまうこともあるかもしれません。
『感情をコントロールする』ということを意識し実践するべき、とのことでした。
~「認知症」をテーマにしたTV番組より~
認知症を持つ妻と支える夫。自宅で生活を共にしている。
久しぶりに訪れた取材スタッフにお茶を出す場面。
〈夫〉「お茶出して。冷たいの。」
〈妻〉「お茶?」
「冷蔵庫にあるだろ」
〈妻〉「冷蔵庫?」…探している
「そうそう、そこそこ」
〈妻〉…迷った末、冷蔵庫を開け、ペットボトルを手に取る
「それそれ」
〈妻〉…顔が曇る
「グラスそこに出して。ふたつ」
〈妻〉…探している
「そっちの上、コップだよ、コップ」
〈妻〉「何だかわかんないな…」
「上だよ、もっと上、そっちの上」
〈妻〉「私の目にはないわ。ないない」
「コップあるだろ。それ」
〈妻〉「だったら自分でやってちょうだいよ。飲みたい人が!」
妻は取材スタッフを覚えていて、笑顔で出迎えた後の場面。
介護士さんであれば何が起こっているのかお分かりかと思います。
決して夫は介護を放棄しているわけではなく、あらゆる面で妻を支えています。
長年連れ添ったご夫婦だけに、なかなか対応を切り替えることは難しいのでしょう。
平野講師によると、少し専門家の手助けがあれば…とのことでした。
・ペースを合わせて動いてくれる ⇒安心する
・常に声をかけてくれる ⇒安心する
・優しく触れてくれる ⇒そばにいてくれているという安心感
あなたの「名前を聞いただけで」「顔を見ただけで」「声を聞いただけで」安心してくれる。
介護士の皆さんに、利用者様からそんな風に感じてもらえる存在を目指してほしい!
という平野講師からのお願いでした。
次回4回目は7月22日(月)です!